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Multicast についての解説#

*G#

マルチキャストルートの *G は、マルチキャストグループの共通のソースから送信されるトラフィックを識別するために使用される表記法の1つです。

Gはマルチキャストグループを表し、*はワイルドカードを表します。 つまり、*Gは、共通のソースIPアドレスから送信されるあらゆるマルチキャストグループを表すことができます。

例えば、192.168.1.1の送信元IPアドレスから送信されるすべてのマルチキャストグループを表す場合、 *G 192.168.1.1と表記することができます。この場合、*は任意のグループを表し、192.168.1.1は共通のソースIPアドレスを表します。

*Gルートは、マルチキャストルーティングテーブルに保存されます。 マルチキャストルーティングプロトコルは、マルチキャストグループの範囲を表すために、*Gルートを使用します。 *Gルートは、マルチキャストトラフィックがどのグループ範囲から送信されるかを示し、 ルーターが正しいインタフェースにトラフィックを転送するために使用されます。

S*G#

Multicast routingにおいて、S*Gは送信元(Source)とグループ(Group)の組み合わせを示します。

例えば、ある送信元から特定のグループに対してデータを送信する場合、S*Gは送信元とグループの組み合わせを表し、 それに対応するマルチキャストツリー(Multicast Tree)を構築します。

S*Gは、SPT(Shortest Path Tree)とShared Treeの2つの方法でマルチキャストツリーを構築できます。 SPTは送信元からの最短パスを利用してツリーを構築する方法で、Shared Treeはルートノードからの最短パスを利用してツリーを構築する方法です。

S*Gの選択は、アプリケーションやネットワークの要件によって異なります。SPTはデータ転送の効率がよく、 帯域幅の使用量が少ない傾向がある一方で、ネットワークトポロジーが複雑な場合にはルーティングテーブルが大きくなり、 管理が難しくなるという欠点があります。 一方、Shared Treeは、単純なツリーを利用するため、ルーティングテーブルが小さくなり、 管理が容易であるというメリットがありますが、効率が低く、ツリーの分散による負荷分散ができないという欠点があります。

SGは、IPマルチキャストにおいて、送信元とグループの組み合わせによって、マルチキャストツリーを構築するための重要な概念です。 適切なSG選択は、ネットワークのパフォーマンスに大きな影響を与えるため、ネットワーク管理者は、アプリケーションの要件に合わせて、 適切な選択を行う必要があります。

RPF#

Multicast RPF(Reverse Path Forwarding)は、Multicastトラフィックを転送するための一般的なアルゴリズムです。 Multicast RPFは、Multicastトラフィックの送信元が正しいインターフェースから送信されているかどうかを確認するために使用されます。

Multicast RPFアルゴリズムでは、ルーターはマルチキャストパケットの宛先アドレスをチェックし、 そのアドレスに関連する送信元アドレスを知る必要があります。ルーターは、ルーティングテーブルからマルチキャスト宛先アドレスの最適経路を選択し、 その経路から受信するインターフェースに関連する送信元アドレスを取得します。

次に、ルーターは、送信元アドレスがそのインターフェースに関連しているかどうかを確認します。 これにより、ルーターは送信元アドレスの偽装を検出し、不正なMulticastトラフィックを防止することができます。 送信元アドレスが正しい場合、ルーターはMulticastトラフィックをそのインターフェースから転送します。

Multicast RPFは、ルーティングプロトコルによって自動的に構築されたルーティングテーブルを使用します。 したがって、正しく構成されたルーティングプロトコルとルーティングテーブルが必要です。 また、Multicast RPFは、IPv4およびIPv6の両方で使用できます。

Multicast RPFを正しく構成することにより、ネットワーク内での不正なMulticastトラフィックの送信元の偽装を防止し、 正しい経路を介して正当なMulticastトラフィックを転送することができます。

PIM 動作モード#

PIM version2は、PIM version1の改良版であり、IPv6およびIPv4ネットワークでマルチキャストトラフィックを効率的に配信するために使用されます。 以下は、PIM version2の動作についての解説です。

  1. スパースモード(SM)

    PIM-SM version2は、PIM-SM version1と同様に、スパースモードで動作します。 PIM-SM version2は、マルチキャストトラフィックを送信するソースからのルートを確立し、 それに応じてマルチキャストトラフィックを伝送するために、RP(Rendezvous Point)を使用します。 PIM-SM version2は、RPF(Reverse Path Forwarding)チェックによって不正なマルチキャストトラフィックをフィルタリングすることができます。

  2. 密集モード(DM) PIM-DM version2は、PIM-DM version1と同様に、密集モードで動作します。 PIM-DM version2は、ルート配信トリガー(RDT)メカニズムを使用して、マルチキャストトラフィックの伝送を開始します。 RDTメカニズムは、マルチキャストトラフィックの送信元ルーターからのルートを受信したときに、 ルーターがマルチキャストトラフィックを送信するために必要なインターフェースを検索します。

  3. SSM(Source-Specific Multicast) PIM-SSM version2は、SSMの動作をサポートします。 SSMは、単一の送信元からのマルチキャストトラフィックを効率的に伝送するためのメカニズムであり、 送信元アドレスを含むマルチキャストアドレスが使用されます。PIM-SSM version2は、 SSMのマルチキャストアドレス範囲(232.0.0.0/8)をサポートし、IGMPv3を使用してホストのSSMチャネルへの参加を処理します。

  4. PIM-Bidir(Bidirectional PIM) PIM-Bidirは、単一のマルチキャストトラフィック配信ツリー(Shared Tree)を使用して、すべての受信者にマルチキャストトラフィックを配信します。 PIM-SMとは異なり、PIM-BidirはRP(Rendezvous Point)を使用せず、すべてのルーターがマルチキャストトラフィックを伝送するために協調します。

    PIM-Bidirは、双方向のマルチキャストトラフィックを配信する必要がある場合に使用されます。 例えば、ビデオ会議やライブストリーミングなどのアプリケーションで使用されます。

    ただし、PIM-BidirはPIM-SMよりも単純なプロトコルであるため、スケーラビリティや柔軟性に欠けるという欠点があります。 PIM-Bidirは、単純なネットワークでの使用に適していますが、複雑なネットワークではPIM-SMがより適している場合があります。

PIM version2は、IPv6ネットワークで動作するための拡張を提供しており、IGMPv3と組み合わせて使用することができます。PIM version2は、ルーター間でマルチキャストトラフィックを効率的に配信するための柔軟で拡張性の高いプロトコルです。